今年7〜9月にアマプラで観た音楽系コンテンツをミニレビュー。毎度恒例、ネタバレ御免につきご注意を。
アメリカン・ユートピア (字幕版)
デヴィッド・バーンのライヴ・ドキュメンタリーですが、若い世代から評判が良いようなので「え?何で?」という興味から。正直、ヘッズの頃から彼の音楽的搾取を軸にした世界観には、「世界も歴史もそんな単純なものでは無いだろう」という違和感が強かった自分です。それから40年を経て、老境に入ってもなお白人富裕層の文化簒奪者であることを贖罪し続けるような姿を誠実と見るか停滞と見るかはアレですが、ニヒリズムに陥らず希望を感じさせるパフォーマンスは良いモノかもと思ったり。練り上げられた舞台表現は素直に凄いと感じたし、評価されているのは背景の思想ではなくこちらのほうかな、と解釈しました。
アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール(字幕版)
どちらかというとサラ・ブライトマンの歌として認識してた「タイム・トゥ・セイ・グッバイ(コン・テ・パルティロ)」のオリジネイター歌手の伝記。盲目だとは知りませんでしたが、両親から十分に愛を注がれているし音楽活動の傍ら弁護士資格まで取っている等、ハンディキャップを埋めて余りある天賦の才を見せつけられるので、悲壮感を感じることなく楽しめるのはイイことなのかな? 故郷のトスカーナの映像が美しい。ラストシーンでのサンレモは「コン・テ・パルティロ」を初めて歌った時かしら。予備知識無さすぎで、ちょっと損したかも。
グッド・ヴァイブレーションズ(字幕版)
「ベルファスト・パンクのゴッドファーザー」と呼ばれた、テリー・フーリーの'70年代を描いた伝記映画。続発するテロで寂れゆく街に活気を、と開いたレコ屋の親父が地元パンクバンドと出会い、レコーディングからプロモートにまで奔走。けど商才は無かったらしく、ビジネス的にダメダメな姿が例えばマルコム・マクラーレンあたりとは対照的な善人像で、作品に温かみと笑いをもたらしてます。欲を言えば、当時二十代後半でヒッピー世代な彼の音楽観に、パンクの勃興がどう映ったのかを描いてほしかったかなーと。
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